2022/05/16 10:10

 私には、今4人の楽器修理の師匠がいらっしゃいます。いろいろな名人のところに行っては修理に関して教えていただくからです。私にはたとえ期間が短くても、ただ教えていただいた方ではなく。「師匠(マスター)」です。
 2人目の方が、すごい方です。何がすごいのかというと、木管楽器(フルート、
クラリネットなど)、金管楽器(トランペット、トロンボーンなど)はもちろん、打楽器(和太鼓)セラミックで作った楽器を演奏できるようにした事も、ある時は、車のバンパーのへこみ直しを引き受けたことも。
 お客さん曰く、「板金屋さんでも出来ないと言われて来ました」との事、師匠は「ああ、良いですよ」と軽く引き受けてました。
 師匠は、好奇心旺盛で、前向きな考えを持っている方です。車のバンパーのへこみ直しにしても「いつ、どんなことが役たつか分からないから、何でもやってみなさい」とよく言われました。
 また、どんな困難な修理が来ても、始めから出来ないとは言わない方です。
 そして、修理に関してもこちらから聞くと何でも教えてくださるのですが、師匠の方から「ああしろ」「こうしろ」とは、言わない方です。
 師匠曰く「修理というものは、数学と一緒で、“直す”という答えはみんな一緒だが、そこにたどり着く道筋は何通りもあるので、人によって直し方が違ってもいい。失敗を重ね経験を積むことが大切だ。15年やった私にさえ、過去とまったく一緒の修理は1割程度だ」と言われました。
 なるほど、「その言葉の通り」だと思う。私もこの言葉を胸に、日夜修行に励んでます。