2022/06/04 12:52

この楽器の特徴として「Permadjust Action」という、ネジが付いていることは
昨日書きました。
 このネジがあらゆる調整個所についており、調整するために、そのネジを留めているネジを緩めてから、調整ネジをクルクルと回して、高さを調整するのです。その数16箇所。
 普通ならば、調整コルクと、高さ調整のコルクを、厚めに貼って、削ればよいのですが
  この楽器の場合、ネジを緩めて、クルクル回して、ネジを締めるという作業が必要なのです。
 この作業が面倒くさい点です。
 しかし、良い面もあります。
 それは、コルクを削りすぎた場合、また、コルクが縮んできた場合は、コルクの上に足すか、コルクを交換して張りなおす作業が必要ですが、30Mの場合、ネジで調整するだけで済むところは便利です。コルクを貼り直す時間よりは、はるかに短く楽です。
 この楽器には、今は見られないキーが付いています。G#のトリルキーです。

 トリルとは、楽譜上、指定された音符の長さの間、その音と、隣り合った2つの音を早く反復する奏法である。
 その為、早く出来ない指使いがあるので、あるキーでそれを解消するために取り付けられたキーをトリルキーと言います。
 今はなぜG#のトリルキーがないかと言うと、その正確な答えは分かりませんが、私が考えるに、昔のG#のキー操作よりもやりやすいためと考えます。軽く、指の上下運動で出来るからです。
 昔のキーは、重たく、内側にねじ込むような操作をしなければいけないため、早く操作し難いです。
 そこで、このキーを取り付けて、その難題を克服したのでしょう。

 この様に、昔の楽器を見ているだけでも楽しいです。いろいろな職人さんの苦労などが想像できるからです。